2006年02月09日

I'm here(アイム ヒア)003

リボンをあしらったデザインだが、輪の下に伸びる帯の部分がポッキリと折れていた。
周囲は無言になった。
常識的に考えて、指輪を学校に持って来るのマズイ。
少女もそれはわきまえていた。
ただ、誕生日に買ってもらった大切なものを仲の良い友人に見せたかっただけなのだ。
だから、ペンケースに入れてこっそり持ってきたのだ。
その指輪が傷ついてしまった。

ワケを聞いても少女は泣きながら首を振るだけで話さない。
「ひどい……誰がこんなこと」
クラスメートの一人がつぶやいた。
「誰がって、誰かがやったってこと?」
「決まってるじゃない」
ヤジウマが数人加わって取り巻きが騒然となった。
「犯人は」
「指輪のことを知っていたのは」
「最後に教室にいたのは」
週刊誌のゴシップ記事のような会話が飛び交った。




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「リュウはどう思うんだね」
龍治は食べ終わった魚の串を持て余すように眺めていた。
私は、焚き火の中に入れるように言った。
「みんな誰かの仕業だと……」
「いや、私が聞いているのは君の考えだ」
龍治は私の方をじっと見て、また焚き火に目を落とした。
手にした串でくすぶった焔を掻いた。小さな火のこが散って息吹いた。
焚き火にくべた新聞紙がそり返ってめらめらと燃えた。
炎の隙間から「多摩川に溺死体 暴力団関係者か」という見出しが見えた。
被害者の組員の顔写真が炎に歪み、黒く染まって消えた。
仏教でいう五戒を破った者は灼熱地獄に落ちると言う。
まさにそれを地で言っているように思えた。
「ボクじゃない」
私は二本目の串に出そうとした手を止めた。

そうか。
「オーケー。よし、整理しよう。事実だけを並べて行くんだ。いいかい?」
「うん」
「まず、異変の始まりだ」
龍治は頷いた。
「そうだな。彼女が泣いていたのを最初に見かけたのは誰かね」
「ボクです」
「他に誰かいたかね」
「いえ」
「何時ごろだね」
「分からないけれど、6時間目の授業が終わってしばらくしてからだから、4時前だと思う」
「よし、その調子だ」

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この記事へのコメント

1. Posted by aida   2006年02月10日 10:55
5 すごい意外な展開ですね 想像力は僕はあまりないので 読んでいて楽しいです
^^
2. Posted by 元気まぐ   2006年02月13日 21:01
aidaさん、こんばんは。

ご訪問&コメントありがとうございました。
小説は連載が始まったばかりですが、これからも応援して下さいね。

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「元気まぐ」とは
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私たちは、日常のちょっとしたことが原因で、落ち込んだり悲しくなったりします。
その一方で、さっきまでの落ち込みがウソのように元気になって、立ち直れることがありますよね。
人は、どんなきっかけで元気になれるのでしょうか。
普段、気にもとめないような「元気のみなもと」を追求していけば、元気になれそうな気がしませんか。

元気になるには、人それぞれのコツがあるのです。
みんなの「元気になるコツ」をみんなが知ることができたら、へこんだ時でも元気なれそうな気がしませんか。
1%の元気しかなくても「元気のコツ」を使って100個の元気を集めたら、元気100%になれるでしょう。

縁あってこのサイトを訪問して下さった皆様が元気になれますように、そうして私自身が元気になるために、「元気になるコツ」をご紹介していきます。
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