2006年03月10日

I'm here(アイム ヒア)009

私はたまらず吐き出しそうになったため息を飲み込んで言った。
「プロの尾行をそうそう撒けるか」
私はそれだけが気がかりだった。
私と龍治をつなぐ線は基本的にない。
だが、つけられたとなればそうも言えなくなる。
ヤクザ顔の不審者が気になる。
「ボクは塾のカバンを背負って自転車に乗っているんだ。
あいつら、確かにボクをつけてきたけれど、塾に入ると帰っちゃうんだ」
私は目をむいた。
「で?」
「あいつらがいなくなってから、こっちへ来たんだ」
「塾は?」
龍治は黙った。
私はため息の代わりに舌打ちした。
「君の家の周辺をぐるりと見てこよう。話はそれからだ」




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私の自転車は偵察にも尾行にも向かない。
チェーンはとっくに油が切れている。
おまけに漕ぐたびにペダルとチェーンカバーが触れるらしくギコギコと音がなる。
知っているものであれば、少し離れたところからでも私の存在を窺えるだろう。
薄汚れた警視庁の防犯登録ステッカーが悲しいがこれも拾い物である。

龍治の家は私の家からはかなり距離がある。
河を挟んで対峙しているが、龍治の家へ行くには一度橋を渡り大きく迂回しなければならないのだ。
おまけに電車の駅も違う。
私の方は各駅停車で龍治の方は特急停車駅である。
河を挟んで、こっちとあっちでは不動産の価値もまるで違う。

私は駅側から河へ向かって走った。
閑静な住宅街をギコギコと走り、ようやく龍治の家が見えてきた。
遠くから見た時はありふれた木造だと思ったが、近くでみるとしっかりした造りである。
東南の角地に立てられた家は、南側が河川ということもあって日当たりが良さそうである。
南面にある土手が日光を遮るが、龍治の家は1階が車庫になっている。
土手で日当たりが悪くなることがないように配慮されていた。

龍治の家の50メートルほど手前にアパートがあり、工事用のバンが止まっていた。
アパートで工事が行われている様子はない。
真夏日の炎天下だと言うのに車の窓は締め切られている。

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その一方で、さっきまでの落ち込みがウソのように元気になって、立ち直れることがありますよね。
人は、どんなきっかけで元気になれるのでしょうか。
普段、気にもとめないような「元気のみなもと」を追求していけば、元気になれそうな気がしませんか。

元気になるには、人それぞれのコツがあるのです。
みんなの「元気になるコツ」をみんなが知ることができたら、へこんだ時でも元気なれそうな気がしませんか。
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縁あってこのサイトを訪問して下さった皆様が元気になれますように、そうして私自身が元気になるために、「元気になるコツ」をご紹介していきます。
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