2006年03月26日

I'm here(アイム ヒア)011

私は奥歯に挟まったエビの尻尾をツメでほじくって吐き出した。
「あいつら暴力団で父さんのことを恨んでいるんだ」
「なら、なおさら私の出番ではないな。
だが安心したまえ、ヤクザは現役の警察官にはメッタなことでは手を出さない」
「メッタなことが起きたら」
「あれだけの家に住んでいるのなら、君の父さんは警察の幹部だろう。大丈夫『ヤクザ』なら手を出さない」
「でもあの状況は普通じゃないよ」
今度は私が黙る番だった。
確かにその通りだった。


「リュウ、私はただのホームレスだ。それ以上でもそれ以下でもないんだ」
「でもおじさんは『元刑事』だったんでしょう」
私は唖然とした。
藪から棒状態だった。
どうして刑事なのか。
そうして状況を飲み込むとおかしさが込み上げて来た。
そうか、それで龍治は私に接触してきたのだ。
私はおかしさをかみ殺しながら、しかしある種の緊張を孕(はら)みながら龍治に訊ねた。
「刑事と言ったな?」
「元だよ」
いちいちとうるさい子供だ。
「どうでもいい。誰に聞いた?」
「父さんが母さんに話していたんだ」
河原に『元ケイジ』の浮浪者が住んでいるらしいと……。
所轄の調書にも載っていない人間だと。
私の予感は的中した。
私のことを知っている人間がいるのだ。
私はこのままこの場所にいつづけ、龍治と行動を共にすることが良策とは思えなかった。

「龍治、私は警察官だったことはない。ウソじゃないんだ」
「でもおじさん、推理だって上手じゃないか」
やはりそうだったか。
「指輪の話は推理なんかじゃない。話を整理しただけさ」
私は龍治があの日、この河原に私を訪ねてきた意味を質(ただ)しておこうと思った。
「指輪の話だが……」
龍治は体育座りのままうつむいている。
「アレは君の作り話だな?」
「……」
「全てウソとは言わんが部分的に作り変えたろう」
「どうしてボクがそんなことをする必要があるの?」
「ホームレスの元刑事がいると言う噂が事実かどうかを確認するためさ」




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「元気まぐ」とは
「元気まぐ」をサイト情報に追加する by BlogPeople

私たちは、日常のちょっとしたことが原因で、落ち込んだり悲しくなったりします。
その一方で、さっきまでの落ち込みがウソのように元気になって、立ち直れることがありますよね。
人は、どんなきっかけで元気になれるのでしょうか。
普段、気にもとめないような「元気のみなもと」を追求していけば、元気になれそうな気がしませんか。

元気になるには、人それぞれのコツがあるのです。
みんなの「元気になるコツ」をみんなが知ることができたら、へこんだ時でも元気なれそうな気がしませんか。
1%の元気しかなくても「元気のコツ」を使って100個の元気を集めたら、元気100%になれるでしょう。

縁あってこのサイトを訪問して下さった皆様が元気になれますように、そうして私自身が元気になるために、「元気になるコツ」をご紹介していきます。
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