2006年04月07日

I'm here(アイム ヒア)013

「本当に大切なことは大切なことのために、今自分がやるべきことを行動に移すことだ」
龍治は頷いた。
「君のようにね。
私は刑事ではないが、今まだ君が私を必要としているのなら、私もできる限りのことをしよう」
龍治の嗚咽が大きくなった。
子供にこんな心配をかけさせるバカ親を私は知らない。
私のそばに、私のことをこれくらい思ってくれる人がいれば、私の人生もまた違っていたかもしれなかった。
「さっそくだが龍治。用意して欲しいものがある」
私は泣いている龍治の頭をゴシゴシこすった。


夏とは言え、太陽が沈んでしまうと河原の夜は早い。
河に架かるバイパスの橋と土手向こうに街灯がちらついているが、河原は暗い。
暗くなったら寝る。
それが私たちの生活習慣だ。
暗がりの中で、私はフィールドスコープを覗き込んでいた。
薄緑色に染まった単眼鏡(スコープ)に少年の家がくっきりと見える。
私が少年に頼んだのは、双眼鏡と通信機だった。
小学生相手のお願いである。正直、期待していなかったが龍治が持ってきたのは、びっくりするくらいのシロモノだった。
龍治は双眼鏡ではなく、山や野などのフィールドで野鳥や動物を観察する本格的な単眼鏡を持ってきた。
もちろん三脚付で、おまけに星明かりを増幅して暗闇でもはっきり視認できるスターライトスコープだった。
監視にこれ以上のアイテムはないだろう。
驚いて訊ねると、誕生日に父親が買ってきたという。
スターライトスコープは別名を暗視鏡とも言う。
軍隊で使用するような実戦的なモノもあるが、龍治のものは日本のメーカーが作っている野外観察用のものである。
通信機は安物だった。
龍治が言うには、スパイキットが学校で流行っているらしい。
数百円程度で買える小型のトランシーバーだった。
携帯電話はハイテク装置だが、無線機は基本的に第二次大戦の頃から技術は変わっていない。
今や日本では旧世代の部品として扱われ、子供の小遣いで買える程度の部品の寄せ集めで作られているのだ。




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その一方で、さっきまでの落ち込みがウソのように元気になって、立ち直れることがありますよね。
人は、どんなきっかけで元気になれるのでしょうか。
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