2006年04月17日

I'm here(アイム ヒア)015

翌朝、奴らの監視を確認したあと、私は公共施設の清掃に参加した。
ホームレスにも仕事はあるのだ。
市が用意してくれた軽作業を行うことによって、食事といくばくかの金を手にすることができるのである。
監視の目が気がかりだった。
私が普通にホームレスをすることが一番自然なのだ。
私はそのあといくつか用を片付けると帰路についた。

異変が起きたのは3時頃だった。
仕事から帰って土手を確認すると監視車両はいなかった。
私は家の前に転がしていた自転車をギコギコと漕いだ。
橋を渡る。
龍治の家と駅の間に小学校があったはずだった。
龍治に会う必要があった。

昨夜窓に映っていた赤い光点は盗聴装置だ。
レーザーモニターと呼ばれるものだ。
室内で発した音は空気を伝わってガラス面を振動させる。
ガラスに照射したレーザーはガラス面の微細な振動を拾うのだ。
原理的には糸電話である。
ガラス面が紙コップでレーザーが糸の役割をしているのだ。
レーザーモニターはそのガラスの振動パターンを音声に変換できるのだ。
その車両が撤収した。
なぜか。
盗聴の必要がなくなったからだ。
事態は新しい展開に移っていた。
彼らはヤクザではなく、警察官だった。
ヤクザは工事車両でカムフラージュした盗聴などまどろっこしいことはしない。
現場の警察官が撤収したことは証拠を押さえ容疑がほぼ固まったことを意味しているのだ。
恐らく逮捕状も取れたに違いない。
遠くでサイレンの音が聞こえた。

「龍治、私の家へ来い」
下校中の龍治はすぐに見つかった。
小学校前で張るワケにはいかない。
沢山の生徒の中から龍治を探すのは困難だ。
運よく見つけたとしても、手をひこうものなら「誘拐」扱いである。
仕方なく学校と家の通学路で狙うしかなかったのだ。
「おじさん、どうしたの」
「詳しいことは後で話そう」
龍治は私の顔から切迫した様子を見てとったようだ。
「今教えて欲しいんだ」
「ここではムリだ」
サイレンの音が近づいていた。






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