2006年05月13日

I'm here(アイム ヒア)019

フラッシュバックの向こうに安寧の光が見えた。
一種の儀式である。
いつもそうなのだ。
「やること」をやってしまえば発作は治まるのだ。
「いや、スマン」
私はようやく自分を取り戻した。
「いえ、こちらこそムリを言って……」
「いや」
私はソファにのけぞって天井を見上げた。

ノックの音がして女性がお盆にお茶を乗せてきた。
矢崎はその盆を受け取ると「甘いものも頼むよ」そう言って追い返してしまった。
そのままドアの鍵をかけた。
矢崎は茶を私に勧めた。
私は遠慮なく熱い茶をすすった。
茶葉の心地よい香りが鼻腔を通ると次第に落ち着いてきた。
私は彼女が置いていった書きかけの調書を横目に見た。
所定の様式ではない。
レポート用紙に日付と時間、担当者の氏名が書かれていた。
「???」と書かれ四角でかこってあるのは私を指しているのだろう。
「調書はとりません。もちろん盗聴器やボイスレコーダーもありませんよ」
私はそれには答えなかった。

「相沢龍治には構うな。そっとしておいてくれ」
矢崎は小刻みに顎を動かした。
明確にイエスと言わなかったのは矢崎にはその権限がないからだ。
「イエスと言え」
「彼にはただ話を聞いているだけです。母親が迎えにくるまでね」
矢崎は言葉を一度切り、そして続けた。
「あり得ないと思いますが、あなたに誘拐されそうになったのかどうか確認する意味もありますしね」
「詭弁だ。それに彼は何もしゃべりはせんよ。
もう一度だ、彼にかまうな」
矢崎は苦い顔をすると立ち上がって内線を取った。
龍治の様子を尋ね、一度席を外して戻ってきた。
「桐生さん、カレは今婦人警官と一緒です。ヒアリングはしていません。アイスを食べていましたよ。彼の母親もこちらへ向かっているそうです」
私は頷いた。




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「元気まぐ」とは
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私たちは、日常のちょっとしたことが原因で、落ち込んだり悲しくなったりします。
その一方で、さっきまでの落ち込みがウソのように元気になって、立ち直れることがありますよね。
人は、どんなきっかけで元気になれるのでしょうか。
普段、気にもとめないような「元気のみなもと」を追求していけば、元気になれそうな気がしませんか。

元気になるには、人それぞれのコツがあるのです。
みんなの「元気になるコツ」をみんなが知ることができたら、へこんだ時でも元気なれそうな気がしませんか。
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縁あってこのサイトを訪問して下さった皆様が元気になれますように、そうして私自身が元気になるために、「元気になるコツ」をご紹介していきます。
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