2006年05月27日

I'm here(アイム ヒア)020

「龍治の父親だが……」
私は言葉を切った。
「相沢幹久ですね」
「彼は『キャンディー』に絡んでいるのかね」
「いきなり直球ですね」
「どうなんだね。ストライクかボールか」
徐々に私は自分を取り戻しつつあった。
あの「儀式」さえやってしまえば何も問題はない。
矢崎は少し困った顔をした。
「今、調査中です」
自分の口からは部外者には言えないと言うことだ。
ならば、こちらも話すことはない。
「帰れ、と言っているのかね」
私は汚れた靴に足を入れた。
矢崎は慌てて私を制した。
「ちょ、ちょい待ってください。駆け引きはなしですよ。ここは法廷じゃないんですから」
「質問をはぐらかすからだ。私と非公式の意見交換をするのならば、君は自分自身の意見を言え」
「了解です。桐生検事……あいや、桐生さん」
矢崎は額の汗をぬぐった。
私は事件のキーマンではないが、今回の件との関連性を確認しておくことが彼の役割なのだろう。
私から背景を聞き出せなければ、彼はメンツを失う。
だが面倒なのはマスコミだ。
「ヤメ検」浮浪者の登場と容疑者の息子の関連だけで好餌(こうじ)となる。
矢崎にしても正直なところ、一応の確認を取ったら私などさっさと放り出したいのだ。

「すみません、後学のためにご指導ください」
「相沢は本庁4課の幹部なのか」
矢崎は重い吐息をつくと「幹部ではありませんが、4課の人間です」と答えた。
「暴力団に捜査情報を流していた?」
「ええ」
「河に上がった殺しか、それともキャンディーかな?」
「ええ」
矢崎はヤケ気味に髪を掻き上げた。
警視庁捜査4課は暴力団専門の部署だ。
「キャンディー」というのは微量の覚せい剤をキャンディーに溶かしたものだ。
10年ほど前までは新宿や渋谷などの繁華街で高校生相手に売買されていたものである。
だが、数年前から小中学生が対象となり、吉祥寺や多摩地域、八王子まで広がりを見せている。
これは、警察関係者だけが知りうる特権ではない。
所轄から教育委員会を経由して小学校、PTAに注意喚起の通達がなされているのだ。




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私たちは、日常のちょっとしたことが原因で、落ち込んだり悲しくなったりします。
その一方で、さっきまでの落ち込みがウソのように元気になって、立ち直れることがありますよね。
人は、どんなきっかけで元気になれるのでしょうか。
普段、気にもとめないような「元気のみなもと」を追求していけば、元気になれそうな気がしませんか。

元気になるには、人それぞれのコツがあるのです。
みんなの「元気になるコツ」をみんなが知ることができたら、へこんだ時でも元気なれそうな気がしませんか。
1%の元気しかなくても「元気のコツ」を使って100個の元気を集めたら、元気100%になれるでしょう。

縁あってこのサイトを訪問して下さった皆様が元気になれますように、そうして私自身が元気になるために、「元気になるコツ」をご紹介していきます。
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