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■好きな人ができたなら……

昨年の12月(2004年)深夜テレビの「あいのり」で数週間という短い期間の旅を終えて帰国した男性がいます。
彼は自己紹介で自分のニックネームを「歯医者」と言いました。
開業を予定している青年歯科医です。
(#247 2004.11.29OA 〜 #251 2004.12.27OA)


昨年は、私もかなり忙しく、ゆっくりとテレビを見る時間もありませんでした。けれども、どういうわけか「あいのり」はたまたま見ることができたのです。
私もこの番組にそんなに詳しいわけではありませんが、簡単にご説明しましょう。

「あいのり」は、ラブワゴンとよばれる車に男性4人、女性3人が乗り世界を旅する番組です。彼らは旅をしながら好きな人ができると、ドライバーから日本行きの航空券(チケット)を受け取り相手に告白するのです。
もし、相手が告白に応じれば二人でチケットを手に日本へ帰ることができます。
でも、相手が告白に応じなければ自分ひとりで帰ることになります。相手はそのまま旅を続けるのです。

歯医者の登場は突然でした。
何しろ、ラブワゴンはフル乗車、つまり誰かが帰国(告白)して空席ができたわけではなかったからです。
メンバーみんな、驚きました。
実は、歯医者が加わったのは番組の手違いだったからです。

メンバーの誰かが告白して帰国すると、欠員が出ます。
欠員が出てからメンバーを補充していたのでは、7人の旅ができません。番組として成り立たないのです。
そこで、メンバー達は旅を続ける中で日記を書きます。
日記には自分の心情や気になる相手のことが綴られます。
スタッフは、日記や彼らの雰囲気から告白の兆候をキャッチすると、次のメンバーを手配するのです。
歯医者の時は「告白するだろう」と思われたメンバーのひとりが予想に反して告白しなかったのです。
フライングのような形になってしまいました。

フライングにはみんな驚きましたが、もっと驚いたのは歯医者の年齢でした。
彼は32才だったのです。
世間一般的に、32才で独身と言うのは驚く年齢ではありません。
けれども、ラブワゴンに乗るメンバーは平均年齢が23才前後の若さなのです。

歯医者は彼らの兄貴分のような存在でした。
歯医者は昔から、仲間や後輩から慕われる頼れる人だったのです。
その分だけ、耐え抜いてきた人間と言えるでしょう。
歯医者は一人の女性のことが好きになりました。
そして、その女性が心を寄せる男性の存在にも気付いていました。

歯医者の旅が始まって数週間したある日、その時はやってきました。
宿についてメンバー達がくつろぐ前で、歯医者は自分の気持ちを語り始めました。
事実上の「告白宣言」です。
メンバー全員の前で「告白宣言」するのは番組史上初のようなことを説明されていました。

私は歯医者の言葉をよく覚えていないのですが「自分の気持ちに整理がついたのでこの旅を終わりにしようと思う」そんなようなことを説明したと思います。
みんな驚きました。
誰よりも新しいメンバーだった歯医者がもう告白すると言うのです。
歯医者の決意に皆、衝撃が走りました。

歯医者はチケットを受け取り、意中の人に思いを告げました。
恋は成就しませんでした。
相手の女性は泣いていました。
辛かった時にそばにいてくれたのが歯医者でした。
歯医者の優しさに心が揺れ、一方で自分の気持ちに素直になろうと心を決めていたからです。
二人を見守るメンバーの気持ちも複雑なようでした。
みんなが慕うお兄ちゃん、歯医者を応援したかったからです。
でも、彼女が想う相手のことも皆、分かっている。


後から来た歯医者がみんなより先に決断して、先に帰国する。
共有する時間が少なかったはずなのに、ポッカリと心に穴があいたような感じでした。
それくら歯医者の存在は大きかったのです。


私が感じた大切なポイントはひとつだけ。
「言う(告白する)のか、言わぬのか」
それだけです。
「いつ言うか」
では、ないのです。

「あいのり」に限ったことではありません。
何でもそうです。
「やるのか、やらないのか」
そう言うことなのです。

歯医者は勇気があったのでしょうか。
勇気があったから告白できたのでしょうか。
私は違うと思うのです。
自分の目的に忠実だったにすぎないと思うのです。

「あいのり」の目的は何でしょうか。
好きな人を見つけて、日本に帰ることです。
好きな人がいないのであれば、自分が好きになれるような人が現れるのを待つか、自分の気が変わるのを待って別の人を好きになるしかありません。
歯医者は幸運にも、好きな人が見つかったのです。
彼は、自分の気持ちをよく確かめたでしょう。
相手の人となりもよく見極めたでしょう。

歯医者は自分の目的に忠実に従い、決断したにすぎないのです。
好きな人ができたならば、他にすることはないではありませんか。
見極めに時間がかかる人もいるでしょう。
でも歯医者には十分な時間だったのです。
だから告白したのです。

誰でも好きな人に告白するには勇気が必要です。
けれども、その勇気は時間がたてば、与えてくれるものではありません。
ここまで書けば、察しがつくかもしれませんが「告白する」と言う決断と、相手に伝える「勇気」は全く別のものなのです。

確かに「勇気」がなければ、告白するのは厳しいかもしれません。
でも「今」湧いてこない勇気は、いつか湧いてくるのでしょうか。
「タイミング」と言うイイワケのもとに、ただイタズラに時間を潰しているのではないでしょうか。

「自分の気持ちに整理がついたら言おう」
「もうちょっと相手の気持ちを知ってから言おう」
「もう少し相手が自分を見てくれたら言おう」
「次にふたりっきりになれるチャンスがあったら言おう」

そんなことを言っていたら、いつまでたっても告白できません。
自分の気持ちの整理なんて、10年たってもつきません。
自分の気持ちの整理ができないのに、相手の気持ちを知ることなんて100年たってもできません。
しっかりしていない自分を相手が見てくれることはありません。
どうやって二人きりの時間を作ろうか、考えもしないのに二人っきりになれるワケがありません。
だったら、いつ告白するのでしょうか。


それは、もちろん今です。
今一歩を踏み出すことができるか、できないか。
それが幸せを掴む者と、掴めない者の差なのです。

頭で考えると、とても大変な決断に思えます。
でも、本当はとっても簡単なことなんです。
難しいと思うのは失敗を恐れているからなんです。
不安に思うのは、やったことがないからなんです。


もう、十分考えたじゃない。
もう、十分気にしたじゃない。
もう、十分うつむいたじゃない。
さあ、一歩を踏み出しましょう。

そうすれば「ああ、こんなことだったんだ」そう思えるようになります。
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